航空自衛隊のパイロットを目指す

Twitterの質問では、空自パイロットになるための進路についての質問がたくさんあります。

一般的な航空学生制度はもちろんのこと、防衛大学校や一般幹部候補生等からも、パイロットになれるため、進路に迷う方も多いみたいです。

今回は、空自パイロットになるための進路についてお話します。


搭乗職とは

搭乗職とは、操縦を行うパイロットと、操縦以外の業務を行う搭乗員の総称です。

航空自衛隊には、戦闘機、輸送機、救難機の3種類の操縦職があります。

操縦以外にも、輸送機にはロードマスターと呼ばれる、貨物積載に関する専門職や、救難機には救難員(通称:メディック)と呼ばれる救難作業そのものに従事する隊員も搭乗員です。

良く聞かれる内容として、輸送機パイロットになるにはどうするのですか?やF-2パイロットになるには?等の機種ごとに聞かれることがありますが、現在の航空自衛隊の教育システムでは、機種や職種を選択する自由は認められていません。

もちろん、本人の希望は聞かれますが、必ずしも希望通りに行くことは少なく、半分程度は希望外の職種、機種に置くことがほとんどです。

ただし、メディックは全く別の教育課程になりますので、今回はのぞきます。

操縦職(パイロット)になるには

大きく分けて、3つのコースがあります。

  • 航空学生:高等学校卒業者を対象にした操縦士育成の専門コース
  • 防衛大学校:航空自衛隊採用でかつ航空要員として選抜された場合のみ
  • 一般幹部候補生:航空自衛隊採用でかつ航空要員として選抜された場合のみ

ここで、気をつけることは、

「航空学生の場合のみ、採用されれば間違いなく操縦士要員として教育を受けることができる。」と言う点です。

防衛大学校や一般幹部候補生の場合、採用後(入学後)に再度試験があり、そこで操縦士要員とならない限り、パイロットになることはできません。

ですので、パイロットを目指すために防衛大学校に入学したとしても、その後の操縦適性検査等で不合格となった場合は、パイロットになることはできず、別職種で自衛官として勤務することになります。(もちろん、任官拒否して自衛官にならない選択もあります。)

年齢や学歴によって、受験タイミングが異なるため、複数の試験を受けて何度もパイロットにチャレンジする方もいらっしゃいます。

航空学生

主に高等学校卒業者を対象にした、操縦士要員教育コースです。

空自においては操縦者の70%以上を占めますが、教育内容は非常に厳しく、途中で断念したり、罷免されることも少なくありません。

航空学生課程は2年間の教育期間で、自衛官としての基礎教育を受け、その後は3~4年間のフライトコースを経て、操縦士になります。

一般的に全部を含めて航空学生と呼ばれがちですが、正確には「基礎教育を受けている2年間」のみ航空学生で、その後のフライトコースは、防大や一般幹部と同じです。

ただし、制服の肩には、「航空学生徽章」とよばれる銀色の翼をイメージした徽章がついており、航空学生出身をあらわしています。

階級は2等空士と呼ばれる階級から始まり、空自最速で空曹長まで昇進します。部隊に配置され、すぐに幹部候補生学校へ半年入学し、3等空尉の幹部へと任官し、第一線に立ちます。

防衛大学校

学校教育法で言う大学校に該当し、卒業すると「学士」の学位が与えられます。

もともと自衛隊の上級・高級幹部育成を主としていますので、パイロット養成のための課程ではありませんが、卒業後に操縦士要員として選抜されることにより、パイロットになることができます。

この際に、「適性試験」を受験する必要があり、合格しないとパイロットへの道は絶たれます。

4年間の大学校生活の後、1年間の幹部候補生学校を経て幹部になり、その後フライトコースへ入ることになります。

防大出身操縦士の占める割合は15%前後ですが、やはり高級幹部になる方が多く、基地司令、群司令、飛行隊長といった要職は、防大出身パイロットが占めることが多くなります。

要職とならなくても、防衛省や各種司令部に役職者として勤務することが多く、定年まで第一線で飛行することは難しい。言い換えると、「パイロットとして勤務できる期間は比較的短い。」と言えます。

一般幹部候補生

通常言われる大学を卒業した方を対象に、直接幹部になるための課程です。

課程の期間は1年間ですが、操縦士要員になるためには、防大と同じく「適性検査」に合格する必要があります。

大卒ですので、幹部候補生学校を卒業後はすぐに3等空尉となります。また大学院卒業者であれば、2等空尉として自衛官になります。

フライトコースは航空学生や防大生と同じコースを歩みますが、パイロット全体で言うと5%に満たないこともあり、非常に少ない出身となります。

防大と同じく、将来の高級幹部としての側面が強く、40台で第一線を退く場合も多いため、長く飛んでいたい方には、あまりオススメできません。

合格しやすいのは?

良く聞かれますが、正直言うとどれも厳しい門です。

採用だけを考えれば、防大が一番です。

これは、学力だけあれば合格するからですが、その後の操縦適性検査は担保されません。

航空学生は、採用されれば間違いなくパイロット要員としての教育を受けることができますが、毎年3000人以上が受験し、合格者は90名前後と言われていますので、かなりの難関です。

一般幹部候補生も学力だけですが、やはり適性検査の合格はその人次第となります。

このページを読んでいる方は、「パイロット」を目指す方だと思いますが、どのコースを選択しても、最終的にフライトコースに入れる可能性は変わらないと言えます。

なりたい仕事と乗りたい機種

パイロットを目指す方は、あらかじめ乗りたい機種や職種が決まっていることがほとんどです。

どこの出身だからといって、何かの優先度があるわけではありません。

ただ、強いて言えば、「フライトコースの先任になればなるほど、機種選択の幅が広い。」とは言えます。

フライトコースは操縦教育を行いますが、機体の数に制限があるため、一度に全員を教育することはできません。

航空学生の場合、卒業数は70人だとすると、それを6つから7つのコースにさらに細分化します。

そして、コース名をアルファベットのC,E,F,G,Hとつけ、早い順にフライトコースへ入学させます。A,Bは防大出身者、Dは一般幹部出身者になっています。(現在は変わっているかも。)

フライトコースはAから入学できますので、最終的な卒業(ウイングマーク授与:事業用操縦士技能証明取得)は最も早いため、機種選定に幅があります。

しかし、最後の方のコースになると、希望機種が全て埋まっている可能性もあるのです。

このため、いかに早いコースになるかが重要です。(空飛ぶたぬきはCコースで、航空学生としては最も早いコースでした。)

成績順といわれますが、私はそれほど好成績ではなかったので、運かなと思っています。

フライトコースに入り、最初の課程「初級操縦課程」でT-7初等練習機による訓練を行いますが、この課程修了時に最初の振り分けがあります。

「戦闘機」か「輸送・救難機」かです。

かなり重要な分かれ道が、最初にあるため、その能力の見極めは困難を伴います。

私が教官として勤務していた際に、ここが一番の悩みどころで、本人の希望を優先したいけど、要員数の制限や年度予算、部隊所要等が複雑にからむため、卒業が近づくと、そればかりが頭をよぎる日々でした。

以降の機種選択は、技能証明取得時に選考されますので、割と最後になります。

航法士(ナビゲーター)

RF-4の後席や輸送機の航法士というのは、専門のコースというのはありません。

一般的には、フライトコースで罷免になった場合に、本人の希望と、採用枠によって決まります。

ただ、最近は輸送機の航法士は、一般の隊員から転向できるという情報もあります。

進路選定にあたって

とにかくパイロット!!と言う方は、まず航空学生を受験してみることをお勧めします。

というのは、年齢上限に達していなければ何度も受験可能ですので、大学在学中でも可能です。

これに平行して防衛大学校も受験出来ます。

そして、最終手段として大学卒業後に一般幹部候補生を受験する。

いずれも狭き門ですが、言い換えると「操縦適性がなければ、全て不合格」になる可能性がありますので、やれるチャレンジはできる限りやってみるというのが良いと思っています。

もちろん、何度も適性検査を受けるというのは、減点の対象にはなりますが、それ以上に自分の適性を向上させることができれば、合格を勝ち取る可能性は飛躍的に上がると思っています。


試験に合格する学力や、適性検査や適性試験に求められる資質、それらを通過しても希望の職種や機種に乗れるとは限らない。

こんな風に考えると、「なんて割の合わない仕事なんだろう。」と感じるかもです。

でも、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という言葉の通り、まずはスタートラインに立たなければ、ゴールはありません。

しっかり考えて、そして得られるチャンスは最大限に活用する。

そんな気持ちをもって進んで欲しいと思っています。

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