F-15の操縦系統とコントロール・チェック

F-15の地上操作のうち、コントロール・チェックと呼ばれる項目があります。

外から見ていると、翼に付いている動翼がバタバタするのを見たことがあるかと思います。

あの点検は、同じ事を2回行っているように見えるかもしれませんが、実は1回目と2回目は異なる条件で行っているのです。


F-15の操縦系統

F-15の操縦系統は油圧によって作動しています。

正確には、操縦桿やラダーペダルの動きを、ワイヤーによってセンサー部に伝え、センサーがその移動量によって、油圧を制御するシステムです。

操縦系統の油圧を、「PC」と呼んでおり、それぞれ2系統があり、「PC1」と「PC2」と呼称しています。

さらに、各系統はAとBの2種類に分かれており、「PC1A」、「PC1B」、「PC2A」、「PC2B」の4種類になっています。

それぞれが、互いにバックアップとなるように構成されており、基本的に1系統(PC1またはPC2)が故障しても、もう一方の系統で通常通りの運用が出来るようになっています。

被弾による油圧喪失

F-15は戦闘機ですから、被弾して油圧系統に漏れが生じることも前提に設計されています。

実際に被弾して、油圧系統に損傷を受けた場合、一番怖いのは、「漏れが継続して、作動油がなくなってしまうこと。」です。

PCのそれぞれの系統は、RLS(Reserver Level Sensing)と呼ばれるシステムがついており、これが「作動油の漏れ」を感知するようになっています。

簡単に言うと、ある一定レベルまで油量が低下すると、漏れと判断して系統を遮断する機能です。

これにより、操縦者は特別な操作をしなくても、作動油の漏れによって、生きている油圧系統まで道連れにすることを防ぐことが出来ます。

RLSのない系統もある

RLSはPC系統には付いていますが、これが付いていない系統が1つだけ有ります。

これを、「non-RLS」系統と呼んでいますが、これが被弾した場合は、油圧喪失という状況もあり得ます。

舵面の制御は油圧のみだけど

舵面を動かす力は、油圧しかありませんが、実はそれを制御するシステムは2系統あります。

操縦桿やラダーペダルを操作すると、ワイヤーによってセンサー部に伝わり、その移動量によって油量が調整されて、舵面を動かす系統

もう一つは、操縦桿についているセンサーから直接動きを読み取って、その信号で油量が調整されて、舵面を動かす系統です。

F-15の操縦桿をよく見ると、握る部分の下に、「四角い箱」が付いています。

この箱には圧力センサーがついており、操縦桿にかかった力を感知する機能があり、このデータが油圧系統に送られて、舵面を制御するようになっています。

この箱センサーによる機能は、F-15ではCAS(Control Augmentation System)と呼ばれており、ある意味ではFBW(Fly by Wire)とも言えます。

完全なFBW機体ではない?

この、CASによる機能は、電気制御によって油圧を経由して舵面を動かすと言う点だけを見ると、FBWとも言えなくはありません。

でも、CASのもともとの目的は、「航空機の安定と運動」を制御することになっています。

例えば、完全に操縦桿を固定して、箱に力だけをかけても舵面は動きますが、可動範囲のうちのごく僅かしか動きません。

これは、「あくまで、ワイヤーによる油圧動作+電気的CASによる補正」という系統で設計されているからなのです。

まとめると以下のようになります。

操縦桿を動かす → ワイヤー → センサー感知 → 油圧制御 → 舵面が動く

箱(CAS)が圧力を感知 → 油圧制御 → 舵面が動く

最初の動きはワイヤーだけど、その後に電気的な補正をかけていると思えば良いと思います。

これらは一瞬のうちに行われますので、見た目では切り替わりは分からないでしょうね。

片方の主翼を失っても飛べる

某国のF-15が、片方の主翼を失っても、基地に帰投できたお話は割と有名です。

これは、先ほどの油圧系統の助長性もありますが、最も大きく関与したのはCASです。

CASがあることにより、片帆の主翼を失っても、後方にある水平尾翼(スタビレーター)が左右異なる動きで航空機の安定を図ります。

操縦士が水平飛行するように操縦桿を操作した場合、主翼のない側は揚力がありませんので、機体は傾こうとします。

しかし、CASは機体を水平に使用としますので、スタビレーターが揚力を発生させる角度まで動く事により、主翼の足りない揚力を肩代わりします。

これによって、片方の主翼がなくても帰投出来たのです。

さすがに全ての飛行領域をカバーするとは思えませんが、CASの補正能力の高さを感じることが出来るお話です。

地上確認は2段階

このため、地上におけるコントロール・チェックでは、

  1. CASが働いていない状態
  2. CASが働いている状態

の2種類の点検を行う必要が有るのです。

点検手順は、パイロットが操縦桿とラダーペダルを最大限に動かすことによって行います。

動かす方向と順番は、

  1. 操縦桿:「左後」→「左前」→「右前」→「右後」→「左後」→「中立」
  2. ラダー:「左」→「右」→「左」→「右」→「中立」

です。この時地上にいる整備さんは、二人とも機体後方で各操縦舵面の動きを点検します。もちろん、パイロットもミラーや目視を行い、動きを確認します。

1回目は、「CAS-OFF」で行いますので、各舵面の作動量や動きは同じです。

2回目は、「CAS-ON」で行いますので、各舵面の作動量はより大きくなり、左右で異なる動きが発生します。

非常に微妙な差ですが、気をつけてみると分かると思います。

一番よく分かるのは、スタビレーターで、左右の舵角の差が発生しますので、よく見てみて下さいね。

パドル・スイッチ

ラダーペダルは、前輪の操行系統も兼用しています。

このため、何もしないでラダーペダルを操作すると、前輪が左右に動いてしまいます。

コントロール・チェックの時に動くと、タイヤをいじめてしまいますので、この操行系統を切る必要があります。

この切り替えを行うスイッチを、「パドル・スイッチ」と呼び、先ほどのCASの箱についています。

よく見ると、箱の上部に板がでていますが、これを握ることにより、操行系統をOFFにすることができます。

コントロール・チェックでは、パドル・スイッチを操作して行います。


F-15はやはり世代としては古くなりつつある航空機です。

現在の戦闘機や民間機がほとんどFBW方式に移行しているのは、バックアップ確保のしやすさや、機動制御を行う上で有利とされているためです。

ある意味、操縦桿をぱたぱた動かす時代は終わりを告げているのかもしれませんね。

でも、やっぱり・・・・

空飛ぶたぬきは、操縦桿ぱたぱたが好きなのですwww

 

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