F-15の着陸パターンと操作方法

F-15の着陸は独特の方法です。

アプローチや接地操作は割と普通なのですが、接地後の機首上げによる空力制動が特徴で、アレを見るとF-15だなぁ・・と感じることもしばしば。

今回は、F-15の着陸についてのお話です。


着陸パターン

通常、イニシャルと呼ばれるポイントから進入します。

イニシャルは正式名称を「イニシャル・ポイント」といい、IPと省略されます。

一般的に進入側滑走路方向の延長線上3~5nmの地点に設定され、着陸進入のための開始点や、再度進入し直すための基準点として利用されます。

F-15のような戦闘機の場合、エアライン機のような直線進入をすることは通常有りません。

360(スリー・シックスティ)と呼ばれる、360度直上進入(360 Over Head Approach)方式 で進入します。

IPを対地高度1500ft、速度350kt前後で通過し、滑走路上の接地点直上でダウンウインドへの旋回を開始します。

その際の旋回は約60度から80度前後、旋回時の荷重(G)は4Gです。

旋回開始と同時に、スピード・ブレーキを開き減速します。

この一連の操作を「ピッチ・アウト(Pitch Out)」または単に「ピッチ」と呼称します。

ダウン・ウインド・レグ

滑走路と平行に反対方位で飛行する経路を、ダウン・ウインド・レグと言います。

ダウン・ウインドでは対地高度1500ftで、速度は減速が完了しているため約250kt以下になっています。

速度250kt以下になっていることを確認後、脚を下げ、フラップを下げます。

(F-15の脚とフラップは250kt以下で操作するようになっています。)

この間、高度と進行方向を維持します。

ベース・ターン

ベースターンとは、ダウン・ウインドからファイナル・アプローチに向かうための降下旋回を言います。

管制機関に対して、着陸申請を発出しつつ、滑走路延長線上(ファイナル・アプローチ)に向けて、降下旋回を行います。

旋回開始点は、通常操縦士から見て135度後方に接地点が見える位置になります。

降下旋回を行っている間、速度、高度、経路を調整していきますが、速度が低速域に入っていますので、失速を起こさないように、迎え角指示器(AOA計)を確認しつつ、21.0unitを超えないように旋回を行います。

ベース・ターンの終了は、滑走路の延長線上で、接地点からの距離は約1nmで対地高度は約300ftになります。

ファイナル・アプローチ・レグ

進入側滑走路の延長線上で約1nm長さをもつ最終進入レグを、ファイナル・アプローチ・レグと言います。

ここでは、着陸の為の形態(コンフィグレーション:Configuration)が完了しているはずですので、パイロットは機内計器を最終確認し、特に「脚ダウン」と「フラップダウン」、「スピード・ブレーキ・オープン」を呼称確認します。

【例】:「Gear, Flap Down, Speed Break Open」

ファイナルでは、滑走の延長線上を確実に飛行しなければいけませんが、この滑走路の延長線上に乗る操作のことをアライン(Align)と言います。

また、F-15をはじめとする戦闘機の進入角度(パス:Path)は、2.5度となっており、これも守る必要があります。

そして、進入速度ですが、実は決まっていません。

これは、戦闘機の場合、残燃料によって重量が変化するだけでなく、外装物(機外燃料タンクの有無やミサイル、機銃の残弾数、その他)によって、重量が変化するためです。

ですので、最終進入時の速度は、ベース・ターンと同じくAOA計を使用して、AOA21.0unitを超えないように操作します。

(通常:16.0~18.0unitを維持します。)

最終進入では、アライン、パス、エア・スピードの3つを確実に守ることが重要になってきます。

接地操作

F-15の接地は、すでに機首上げ姿勢でアプローチをしていることから、そのまま接地することになります。

言い換えると、ファイナル・アプローチ時の姿勢はそのまま接地姿勢とも言えるのです。

ただし、地面付近に近づくと「地面効果」によって、機首が下がろうとします。

(地面効果:主翼からの風の吹き下ろしが地面にあたることによって跳ね返り、尾翼の下方から当たり、機首下げのモーメント発生させること。※主翼と地面による圧縮効果もありますが、ここでは単純説明とさせていただきます。)

このため、地面効果による機首下げを起こさないように、僅かに機首を支える操作が必要になりますが、外からの見た目(機首上げ角度)はほとんど変化ありません。

フレアー操作(接地のための機首上げ操作)が必要かどうか聞かれることがありますが、フレアー本来の意味(接地時の姿勢に移行する。)の操作はなく、あくまでも地面効果による機首下げをおこさせないための操作として、機首を支えることになります。

接地点は、ファイナル・アプローチで目標にしていた場所にそのまま着ける形になります。

接地後操作

接地後は、速やかに両エンジンをアイドルにしつつ、操縦桿を引いて機首を上げます。

この時の機首上げ角度は、約14度となっています。

17度まで上げると、尾部(テール・アウト・リガー)を地面にこすることになりますので、注意が必要です。

操縦桿を引いて、機首上げ14度を維持していると、減速していきます。

やがて、最大まで操縦桿を引いても、機首上げ姿勢を維持できなくなり、自然に機首が下がり、前輪が地面に付きます。

その後は、ブレーキを使用して機体を制動します。

ちなみに、最後の機首上げ操作のことを、エアロ・ダイナミック・ブレーキと言いますが、この操作を行っている間、パイロットは前方を見ることは出来ません。

このため、左右の隙間から見える景色を一定にすることにより、滑走路上をまっすぐ進む事になります。


360パターンによる着陸は、戦闘機の宿命でもある、「低高度、低速度」という脆弱性を最小限にするための着陸方法になります。

このため、短時間で多くの操作、判断が必要になりますが、さらに短い時間で着陸するための方法があります。

例えば、ベースターンを接地点真横で開始し、ベース・ターン終了と同時に接地させる方法などもありますが、かなりの難易度です。

実際に乗るチャンスはないかもしれませんが、フライト・シミュレーター等で是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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2 件のコメント

  1. gensays: 返信

    普通の自家用持ちです。
    地面効果を機種下げモーメント発生の現象とするのは、半分正解ではありますが不適切なのでは?

    • ご指摘ありがとうございます。
      本来であれば、翼端渦による翼周りの吹き下ろしの発生、そこから有効迎え角の減少、誘導効力の発生、そして揚力係数の増加に伴う揚力の増加
      という一連の流れを説明すべきです。
      しかしながら、本ページやコンテンツが「航空機や空に興味を持っている方」を主対象としていることから、難解な説明は避けて記載等行っております。
      良くご存じの方からすれば、「舌足らず」「不足」という感覚を持つのは当然かと思っております。
      対象が「誰でも」という点に重点を置いておりますので、ご容赦いただければ幸いです。

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