METARの解析と読み方(1)

「METAR」の解析方法を教えてください。

時々いただく質問ですが、何せこのMETARというのは現存するほぼ全ての気象現象を表現するため、種類が多く、一回ではとても説明できません。

ですので、このシリーズは数回に分けていこうと思います。


気象通報式

気象通報式は、パイロットや航空管制官、運航管理者等が、航空機の運航に必要な気象情報として利用するものです。また、気象予報士等も利用しています。

基本的に英語と数字で記載され、各通報式毎に決められたフォーマットが使用されます。

気象通報式は、以下のように分かれています。

  • 国際気象通報式
    • 地上実況気象通報式(SYNOP)
    • 海上実況気象通報式(SHIP)
    • 定時飛行場実況気象通報式(METAR)
    • 特別飛行場実況気象通報式(SPECI)
  • 国内気象通報式
  • 航空気象通報式
    • METAR、SPECI
    • 運航用飛行場予報気象通報式(TAF)
    • 着陸用飛行場予報気象通報式(TREND)
    • ボルメット放送用飛行場予報気象通報式(VOLMET)
    • 航空気象観測所実況気象通報式(SCAN)
    • 航空路予報気象通報式(ROFOR)
    • 機上実況気象通報式(CODAR)

大きく分けて3種類ですが、さらに細分化されており、我々運航関係者は基本的に全ての通報式を解読し理解する能力が求められます。

METAR(メター)

「METAR」は通常1時間毎または30分毎の定時に観測された気象状態を、それぞれの定時で発表するようになっています。

※ 日本の飛行場では、ほぼ1時間単位の観測です。飛行場によっては運用時間帯以外の観測を行っていない所もあります。

※ 実際は定時前10分間の気象状態を計測し、変化傾向を見る場合は当該10分間を前5分間、後5分間にわけて傾向を観測します。

定時の観測の他、特に大きな気象現象や気象変化がある場合は、定時観測以外に行われる特別観測があり、特別観測を行った場合は「SPECI」が報じられます。

※「SPECI」の元となる特別観測は、天候のしきい値を超えた場合、照会があった場合、航空事故が発生した場合にも行われます。

「METAR」と「SPECI」は、観測時刻が異なるだけで、その様式は全く同じですので、METARが解析できれば、「SPECI」も解析することが出来ます。

本文の構成

本文は以下のような構成になっています。

  1. 識別符号:METAR または SPECI
  2. 訂正報:訂正がある場合のみ。
  3. 地点略号:
  4. 観測日時:Zは、世界標準時を示す。
  5. 欠測報:欠測がある場合のみ。
  6. 風向風速:
  7. 視程:卓越視程 または 滑走路視距離 または 鉛直視程
  8. 現在天気:
  9. 雲形・雲底高度:
  10. 気温・露点:
  11. 気圧:
  12. 補足情報:RMKS

現実の「METAR」は上記のような形にはなりません。

例えば、視程と一言で言っても卓越視程だけを指すわけではなく、条件によっては滑走路視距離を報じる場合や、鉛直視程を報じる場合があったり、現在天気は重要なもののみが報じられたりと、変則な場合がほとんどだからです。

解析

それぞれ細かい解析方法があるのですが、今回は一般的なMETARを具体例として解析してみます。

METAR RJTT 250130Z 16018KT 9999 PRFG FEW005ST SCT030CU BKN080AC 15/13 Q1001 RMK 1ST006 3CU040 A2943

何かの呪文みたいですが、これを一区切りずつ解析してみましょう。

  1. METAR:METARであることを示す前置詞
  2. RJTT:羽田空港
  3. 250130Z:世界標準時の25日1時30分(日本時間の25日10時30分)
  4. 16018KT:風向風速(160°方向から18ノット)
  5. 9999:卓越視程(10km以上)
  6. PRFG:天気現象(PR:空港の一部(Partial)、FG:フォグ/霧(Fog))
  7. FEW005ST SCT030CU BKN080AC:雲量・雲底高度・雲種類(最大3層まで報じられます。)
    1. FEW005ST:FEW:全天の1/8から2/8の量、005:500フィート、ST:ストラタス/層雲
    2. SCT030CU:SCT:全天の3/8から4/8の量、030:3000フィート、CU:キューモラス/積雲
    3. BKN080AC:BKN:全天の5/8から7/8の量、080:8000フィート、AC:アルトキューモラス/高積雲
  8. 15/13:気温/露点(気温15度、露点13度)摂氏表記
  9. Q1001:気圧/QNHとも言います(1001hpa/1001ヘクトパスカル)
  10. RMK 1ST006 3CU040 A2943:こちらは全て備考です。

読み方

「METAR」は、無線機をお持ちの方であれば一度は聞いたことがあるかもしれません。

これは、パイロットから要求が合った場合や、特別な天気現象が発生したり、特別な変化がある場合は、管制官が無線で報じることもあるためです。

また、「ATIS」と呼ばれる飛行場情報を放送している飛行場では、常に「METAR」が放送されています。

先ほどの例を、読んで見ましょう。

METAR RJTT 250130Z 16018KT 9999 PRFG FEW005ST SCT030CU BKN080AC 15/13 Q1001 RMK 1ST006 3CU040 A2943

「メター、ハネダエアポート、トゥエンティー フィフス、ゼロ ワン ツリー ゼロ ズールタイム、ウインド ワン シックス ゼロ ディグリー ワン エイト ノット、ビジビリティ ワン ゼロ キロメーター プラス、パーシャル フォグ、クラウド コンディション、フュー ファイフ ハンドレッド ストラタス、スキャター ツリー タウザンド キューモラス、ブロークン エイト タウザンド アルトキューモラス、テンパラチャー ワン ファイフ、デューポイント ワン ツリー、キュー エヌ エイチ ワン ゼロ ゼロ ワン、リマークス・・・・・」

となります。(英語の読みをカタカナで書いてますので、多少の表現違いはお許し下さい。)

※ 通常の英語と発音が異なるのは、航空英語と呼ばれる読み方で書いていますので、3を「スリー」ではなく、「ツリー」と発音、千を示す「サウザンド」を「タウザンド」と発音しています。

このように、英文で放送されますので、聞き取るには少し慣れが必要かもしれません。

特例

先ほどの例は「割と一般的な天気」の時のものです。

例えば、風は風向変動があるとVRB(バリアブル)と報じられたり、最大風速が10ノット以上変化する場合はGUST(ガスト)と報じられることもあります。

視程はさらにややこしくなり、1600Mを下回るとRVR(滑走路視距離)を報じたり、視程が観測できない状況下(雲の中)などでは、Vertical Visibility(鉛直視程)が報じられる事もあります。

天気現象は雨、驟雨、雪、砂塵、嵐等いろいろあり、雲形の種類もたくさんあります。

時々、「全部覚えるのですか?」と聞かれることがありますが、さすがに全ては覚えていません。やはり普段よく使用する飛行場で使われるものくらいでしょうか。


さて、いかがでしたでしょうか。

気象通報式は、航空気象を勉強する上で避けて通れないもので、実際の運航では非常に重要な意味を持ちます。

どんなに機体の技術やシステムが発達しても、やはり天気には勝てないというのが個人的な考えです。

良い天気でも、必ず実況天気を確認し、自分の飛行する時間帯や代替飛行場へのルート天気を確認するのは、パイロットの義務と言って良いでしょう。

 

METARの解析と読み方①

METARの解析と読み方②

METARの解析と読み方③

METARの解析と読み方④

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